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秩父の山波

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鹿島槍ヶ岳北壁 「正面ルンゼ」

遠峰山岳会のF君と鹿島槍北壁「正面ルンゼ」に行ってきました。
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22日早朝、川崎からのF君と花園道の駅で待ち合わせ大谷原へ向かいますが大谷原までは除雪がされてなくスキー場の駐車場に車を止めます。
今日は天狗の鼻BCまでなので無理のないペースで歩を進めました。8時出発の16時着のほぼ予定通リでした。大川沢の渡渉も上手く石を繋ぎ渡れ、第一・第二クロワールも問題なかったです。
天気は終日良く、夕日の沈む鹿島北壁は素晴らしいの一言です。
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翌日は4時出発の予定でしたがF君がなんと!ヘツデンを忘れ明るくなっての6時出発です。
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                         アタック前

スタートの遅れを取り戻すべく短時間で取り付ける北壁基部をトラバースして行きました。
確かに時間は早かったのですが傾斜がキツイ箇所が数箇所有りロープが欲しかったです。なんとなくですが今回の核心だったような...
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              「氷のリボン」を間近で望むことができました。
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主稜へはソロの方、「正面ルンゼ」はもうワンパーティです。名古屋ASCとのこと。出だしは比較的広い左上するルンゼから入り直ぐに右上する狭いクロワール状になります。ここから実質、スタート。でもチリ雪崩が数えたわけではありませんが20回はあったでしょうか?氷に取り付いているF君を心配しながら体を伏せていました。覚悟は決めているので冷静に受け流せますが酸欠で苦しかったです。出だしは氷ですが5m弱でした。ロープ無くても行けるのですが今回はロープを「素早く積極的に使用する」と決めていました。「正面ルンゼ」内は60~70度程の雪壁でスクリューは使用しませんでした。
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氷の部分はわずかで、隔時登攀で主稜側を直上していき60mロープ5Pで正面尾根のコルに出ました。ここからは正面尾根を忠実に辿って行きました。傾斜のキツイ部分は太いブッシュがあり支点がとれました。
北峰直下へ続くリッジ下部でロープを解き同時登攀でスピードを上げました。名古屋の方は左上していきますが忠実にリッジ左脇を辿り直上しました。
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不思議なことに頭の中に見えないはずの北峰の黄色い山頂標識が浮かんできて、見えないのですが導かれるように突き上げた稜線が山頂標識脇でした。「ヤッター!!」と叫びたかったのですが冷静に我慢しました。
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F君も間もなく上がってきました。
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8時半取り付きの12時過ぎの登攀でした。
名古屋の方に写真を取っていただき雄大な景色を眺めまだまだ気が抜けない天狗尾根を下降しました。
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                          剱岳
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天狗尾根の下降は2箇所懸垂で、天狗の鼻BCに帰還できました。16時だったので無理に下山せずF君が持ってきたアルコールで軽く祝杯を上げました。翌日は雪が締まっているうちに荒沢出合いまで降りることができ昼に車にたどり着きました。大谷原は除雪されていて4月1日から車が入れます。
今回は天候や雪質に恵まれ快心のクライミングができました。
「正面ルンゼ」は技術的困難度はさほど高くないとガイドブックに書かれていて、実際それほど難しい箇所はありませんでしたが総合力が要求され私には一杯でした。またロープを出したことで、精神的な圧迫感がなく疲労が少なかったように感じます。
F君はいつもながら何事にも動じない見た目とは裏腹なクライミングで安定していて心強かったです!
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山頂直下のバイル・アイゼンがビシバシ決まる雪質はクライミング辞めなくて良かった!と心底思える瞬間でした。込上がるものが多分にありました。

来年度からは学生です。既に慌ただしくなってきました。
今後の山行報告はたらっぺ山の会のHPにて行ないます。
山を通じて出会った皆さんのお陰で今回のルートは登れました。

これにて本ブログを終わらさせていただきます。
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おまけです。
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三重のIさんと執拗に攻めた北俣本谷です。山頂での2度のビバークは良い思い出となりました。
by chichitrek | 2013-03-25 21:50 | アルパインクライミング